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更年期に歯ぎしり・食いしばりは増える?睡眠やストレスとの関係を歯科医師が解説

  • 13 時間前
  • 読了時間: 11分

「40代になってから、朝起きると顎が疲れている」

「歯科医院で、歯ぎしりを指摘されるようになった」

「更年期と歯ぎしりには関係があるの?」

こうした疑問を持つ方は少なくありません。

更年期には、ホットフラッシュや気分の変化だけでなく、寝つきにくい、夜中に目が覚める、以前より眠りが浅く感じるなど、睡眠の変化が起こりやすくなります。

一方、歯ぎしり・食いしばりも、睡眠やストレスなどさまざまな要因との関連が研究されています。

ただし、

「更年期になると歯ぎしりが起こる」


「女性ホルモンが減るから歯ぎしりが増える」

と単純に原因を結びつけることはできません。

この記事では、更年期と歯ぎしり・食いしばりについて、現在分かっていることと、まだ分かっていないことを歯科医師の視点から整理します。


そもそも「歯ぎしり・食いしばり」とは?

歯ぎしりや食いしばりは、医学・歯科領域では「ブラキシズム」という言葉で扱われます。

大きく分けると、

起きている間に起こる「覚醒時ブラキシズム」

と、

睡眠中に起こる「睡眠時ブラキシズム」

があります。

覚醒時には、

・仕事に集中しているとき


・スマートフォンやパソコンを見ているとき


・緊張しているとき

などに、無意識に上下の歯を接触させたり、顎の筋肉に力を入れたりしていることがあります。

一方、睡眠時ブラキシズムは、眠っている間に起こる顎の筋活動です。

本人には自覚がないことも多く、

・家族から歯ぎしりの音を指摘された


・歯がすり減っていると言われた


・朝に顎が疲れている


・起床時に顎まわりの筋肉がこわばる

といったことをきっかけに気づく場合があります。


更年期には「睡眠」が変わりやすくなります

女性の更年期は、一般的に閉経をはさんだ前後の時期を指します。

この時期には女性ホルモンの分泌が大きく変化し、

・ほてり、発汗


・気分の変化


・動悸


・疲れやすさ


・睡眠の変化

など、さまざまな症状が現れることがあります。

特に睡眠については、日本睡眠学会も、閉経前と比較して閉経移行期から閉経後にかけて、

不眠症や閉塞性睡眠時無呼吸などのリスクが高くなる

と説明しています。

また、ホットフラッシュなどの血管運動神経症状が強い場合には、睡眠が分断されやすくなることも指摘されています。

そのため、

「以前は朝まで眠れていたのに、最近は何度も起きる」

「睡眠時間は変わらないのに、眠った感じがしない」

という変化が、更年期に現れることがあります。

ただし、女性ホルモンの減少がどのような仕組みで睡眠障害につながるのかについては、まだ十分に解明されていない部分もあります。


では、更年期と歯ぎしりは直接関係するのでしょうか?

ここがこの記事で最も大切なポイントです。

現時点では、

「更年期そのものが睡眠時ブラキシズムを引き起こす」と断定できる十分な科学的根拠はありません。

更年期に歯ぎしりが気になり始めたとしても、

「女性ホルモンが減ったから歯ぎしりが起きた」

と原因を一つに決めることはできません。

一方で、

更年期には睡眠の変化が起こりやすい。

そして睡眠時ブラキシズムも睡眠中に起こる現象です。

さらにブラキシズムについては、ストレス、飲酒、カフェイン、喫煙、一部の薬剤など、さまざまな要因との関連が研究されています。

つまり、更年期という年代には、

睡眠・心理状態・生活習慣など複数の変化が重なり、その中で歯ぎしりや食いしばりが同時に気になるようになる可能性がある

と考える方が適切です。


「ストレスがあるから歯ぎしりをする」とも言い切れません

歯ぎしりについて、

「ストレスが原因です」

と説明されることがあります。

実際、ストレスとブラキシズムとの関連を示す研究はあります。

2020年に発表されたシステマティックレビュー・メタ解析でも、心理的ストレスとブラキシズムとの関連が検討されています。

ただし、ブラキシズムは一つの原因だけで説明できる現象ではありません。

そのため、

ストレス=歯ぎしりの原因

と一対一で考えるのではなく、

「関連する可能性のある要素の一つ」

として考えることが大切です。

更年期についても同じです。

心身にさまざまな変化が起きる時期だからこそ、一つの原因を探すより、

睡眠、生活習慣、心理状態、口の状態をそれぞれ確認する

という考え方が重要です。


朝、顎が疲れているときに確認したいこと

朝起きたとき、

「顎がだるい」


「頬のあたりが疲れている」

と感じても、それだけで睡眠時ブラキシズムと診断することはできません。

ただし、次のようなことが重なっている場合は、一度歯科医院で確認してもらうことをおすすめします。

・家族から歯ぎしりの音を指摘される


・歯が欠けたり、すり減ったりしている


・詰め物や被せ物が繰り返し壊れる


・朝に顎の筋肉が疲れていることが多い


・顎に痛みがある


・口を開けにくい、開けると痛む


・知覚過敏のような症状がある

特に歯の損傷や顎の痛みがある場合は、

「更年期だから仕方がない」

と考えず、歯科医師へ相談してください。


日中の「食いしばり」に気づいていますか?

睡眠中の歯ぎしりは自分では確認しにくい一方、起きている間の食いしばりは、自分で気づけることがあります。

今、この文章を読んでいるとき、

上下の歯は接触しているでしょうか?

食事や会話、嚥下などをしていない安静時には、一般的に上下の歯は常に強く噛み合っている必要はありません。

パソコン作業やスマートフォン操作、家事、運転などに集中しているときに、

「知らないうちに歯を合わせていた」

と気づく方もいます。

そんなときは、

「噛まないように頑張る」

というより、

まず自分がいつ力を入れているのかに気づくこと

から始めてみてください。

日中の口元の状態に意識を向けることは、自分でできるセルフケアの一つです。


更年期だからこそ「睡眠」も一緒に確認する

歯ぎしりだけを見ていると、見落としてしまうことがあります。

更年期以降の女性では、閉塞性睡眠時無呼吸のリスクも高くなることが知られています。

もし、

・大きないびきを指摘されている


・寝ている間に呼吸が止まっていると言われる


・夜中に何度も目が覚める


・朝起きても疲れが残っている


・日中の眠気が強い

などがある場合、

単に「眠りが浅い」「更年期だから」と自己判断せず、睡眠時無呼吸など別の睡眠障害が隠れていないか確認することも大切です。

睡眠時ブラキシズムと他の睡眠関連疾患との関係についても研究されていますが、両者の関係を単純な因果関係として説明できる段階ではありません。

だからこそ、

歯ぎしりがあるから睡眠が悪い

あるいは、

睡眠が悪いから歯ぎしりをする

と決めつけず、それぞれを確認する必要があります。


歯ぎしり・食いしばりには、どのような対応がありますか?

対応方法は、その人の口腔内の状態や症状によって異なります。

歯科では、

・歯や修復物の状態の確認


・顎関節や顎まわりの状態の確認


・必要に応じた口腔内装置の使用


・生活習慣や日中の噛みしめについての確認

などが行われます。

2022年に発表された成人の睡眠時ブラキシズムに関するシステマティックレビューでは、口腔内装置、認知行動的アプローチ、バイオフィードバック、薬物療法など複数の管理方法が検討されています。

一方で、どの方法でも「すべての人の歯ぎしりをなくせる」というわけではありません。

また、歯科で使用されるスプリントなどの口腔内装置にも、

歯や修復物を守ること

と、

睡眠時ブラキシズムそのものを完全に止めること

は同じではない、という点があります。

症状や目的に合わせて歯科医師と相談することが重要です。


更年期の体調変化は、歯科だけで考えない

更年期には、睡眠だけでなくさまざまな身体的・精神的変化が起こることがあります。

だからこそ、歯科ですべてを解決しようとする必要はありません。

強い不眠、ホットフラッシュ、気分の落ち込みなど、更年期症状そのものがつらい場合には婦人科などへ。

大きないびきや呼吸停止、強い日中の眠気などがある場合には睡眠医療を扱う医療機関へ。

歯の損傷、顎の痛み、食いしばりなど口腔領域の問題があれば歯科へ。

必要なときに、それぞれの専門家につなぐこと。

これは健康を考えるうえで、とても大切なことです。


369が大切にしているのは「自分の口に気づく習慣」

369では、更年期や歯ぎしりを「治す」ことを目的としているわけではありません。

369マウスピースも医療機器ではなく、疾病の診断・治療を目的としたものではありません。

私たちが大切にしているのは、

毎日の生活の中で、自分の口に意識を向けること

です。

日中、無意識に強く噛んでいないか。

顎に力が入り続けていないか。

口をどう使っているか。

そして、眠れているか。

40代、50代は、これまで意識していなかった身体の変化に気づくことが増える時期でもあります。

それを、

「年齢だから仕方がない」

で終わらせる必要はありません。

かといって、

「すべて改善しなければならない」

と考える必要もありません。

自分の身体の変化を知り、必要なときには専門家に相談し、日常でできることを少しずつ見直していく。

369は、そんな健康習慣を大切にしています。


この記事の要点

・更年期では、不眠症や睡眠時無呼吸など睡眠の問題が起こりやすくなることが知られています。

・一方で、「更年期そのものが歯ぎしりを引き起こす」と断定できる十分な科学的根拠はありません。

・歯ぎしり・食いしばりには、睡眠、ストレス、生活習慣、一部の薬剤など複数の要因との関連が研究されています。

・朝の顎の疲れだけで睡眠時ブラキシズムを自己診断することはできません。歯の損傷や顎の痛みなどがある場合は歯科医師へ相談してください。

・更年期以降は睡眠時無呼吸のリスクも変化するため、大きないびき、呼吸停止、強い日中の眠気などがある場合は医療機関への相談が重要です。

・369マウスピースは医療機器ではなく、更年期症状、歯ぎしり、睡眠障害などの診断・治療を目的とするものではありません。


よくある質問

Q. 更年期になると歯ぎしりが増えるのでしょうか?

現時点では、更年期そのものが睡眠時ブラキシズムを引き起こす、あるいは増加させると断定できる十分な科学的根拠はありません。一方、更年期には睡眠や心理状態などさまざまな変化が起こるため、それらと歯ぎしり・食いしばりが同じ時期に気になることは考えられます。

Q. 女性ホルモンが減ると歯ぎしりが起こりますか?

女性ホルモンの低下と歯ぎしりを直接的な原因・結果として結びつけることは、現時点では適切ではありません。更年期には女性ホルモンの変化とともに睡眠などにも変化が起こりますが、その仕組みにはまだ分かっていない部分があります。

Q. ストレスが原因で食いしばっているのでしょうか?

ストレスとブラキシズムとの関連を示す研究はありますが、ストレスだけが原因とは限りません。特に睡眠時ブラキシズムは複数の要因が関係する現象と考えられています。

Q. 朝、顎が疲れていたら歯ぎしりをしていますか?

朝の顎の疲労感は一つの手がかりにはなりますが、それだけで睡眠時ブラキシズムを診断することはできません。症状が続く場合や、歯のすり減り・欠け・顎の痛みなどがある場合は歯科医師へ相談してください。

Q. 更年期の睡眠が気になる場合は何科へ行けばよいですか?

症状によって異なります。ホットフラッシュなど更年期症状が強い場合は婦人科、いびき・呼吸停止・強い眠気などがある場合は睡眠医療を扱う医療機関、歯や顎の症状がある場合は歯科医院への相談が考えられます。

Q. 369マウスピースで更年期の歯ぎしりは改善しますか?

369マウスピースは医療機器ではなく、更年期症状や歯ぎしりを診断・治療するための製品ではありません。日常生活で使用する口元のセルフケア用品として位置づけています。症状がある場合は、必要に応じて医師・歯科医師などへご相談ください。


参考資料

・日本睡眠学会「女性と睡眠―ライフステージごとの特徴」

・Chemelo VS, et al. Is There Association Between Stress and Bruxism? A Systematic Review and Meta-Analysis. Frontiers in Neurology. 2020;11:590779.

・Kuang B, et al. Associations between sleep bruxism and other sleep-related disorders in adults: a systematic review. Sleep Medicine. 2022;89:31-47.

・Minakuchi H, et al. Managements of sleep bruxism in adult: A systematic review. Japanese Dental Science Review. 2022;58:124-136.

・Hardy RS, Bonsor SJ. The efficacy of occlusal splints in the treatment of bruxism: A systematic review. Journal of Dentistry. 2021;108:103621.

・Ribeiro-Lages MB, et al. Is there association between dental malocclusion and bruxism? A systematic review and meta-analysis. Journal of Oral Rehabilitation. 2020;47(10):1304-1318.


執筆|369 JOURNAL編集部

歯科・口腔監修|大橋 真龍


歯科医師・グリーン歯科医院 院長


369マウスピース開発者

初回公開:[既存記事の公開日を入力]


最終更新:2026年9月3日

※本記事は一般的な健康・口腔情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。症状がある場合は、医師・歯科医師などの専門家へご相談ください。

 
 

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