いびきはなぜ起こる?歯・顎・舌との関係を歯科医師が解説
- 20 時間前
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更新日:16 時間前
「家族から、いびきを指摘された」
「以前よりいびきが大きくなった気がする」
「いびきと口や顎は関係しているの?」
いびきは、睡眠中に上気道(空気の通り道)が狭くなり、そこを空気が通るときに周囲の組織が振動することで起こります。
肥満、加齢、飲酒、鼻づまり、睡眠姿勢など、いびきにはさまざまな要因が関係します。
そして歯科医師の立場から見逃したくないのが、顎や舌など「口の中の構造」も、呼吸の通り道と無関係ではないということです。
ただし、いびきの原因を歯並びや顎だけに限定することはできません。
この記事では、「いびき」と「歯・顎・舌」の関係について、現在分かっていることを歯科医師の視点から整理します。
いびきは、なぜ起こるのでしょうか?
眠っている間は、起きているときに比べて喉や舌の周囲の筋肉が緩みます。
その結果、上気道が狭くなると、呼吸によって空気が通過するときに軟口蓋など周囲の組織が振動し、「いびき」という音が生じます。
いびきの起こりやすさには、さまざまな要因があります。
たとえば、
・肥満
・加齢
・飲酒
・鼻づまり
・仰向けなどの睡眠姿勢
・扁桃など上気道周辺の状態
・顎や舌の形態
などです。
つまり、
「いびきの原因はこれ一つ」と決めることはできません。
複数の要因が重なって起きることもあります。

なぜ「歯科」といびきが関係するのでしょうか?
いびきというと「喉の問題」というイメージが強いかもしれません。
しかし、呼吸の通り道である上気道は、舌や下顎など口腔周囲の構造とも隣り合っています。
特に歯科領域では、
下顎の位置
舌の位置
口腔内のスペース
と上気道との関係が研究されています。
実際、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療では、下顎を前方へ保持する「下顎前方移動型口腔内装置(MAD)」が、症例によって医療上の治療選択肢になることがあります。
これは、下顎の位置を変えることで舌や周囲組織の位置にも影響し、睡眠中の上気道を確保しやすくすることを目的とした医療用の口腔内装置です。
このことからも、
「口の中の状態」と「睡眠中の呼吸」は、まったく別のものではない
ことが分かります。

「歯並びが悪い=いびきをかく」ではありません
ここは誤解しないでいただきたいポイントです。
顎の形態などが気道の状態に関係する可能性はありますが、
歯並びが悪いから、必ずいびきをかくわけではありません。
反対に、歯並びに大きな問題が見られなくても、肥満、鼻の疾患、加齢、飲酒などによっていびきが起こることもあります。
「いびきがあるから矯正をすればよい」
「噛み合わせを整えればいびきが治る」
と単純に考えることはできません。
大切なのは、いびきという現象だけを見るのではなく、
なぜその人の気道が睡眠中に狭くなっているのか
を考えることです。
仰向けで、いびきが大きくなることもあります
「横向きでは静かなのに、仰向けになるといびきをかく」
という方もいます。
仰向けで眠ると、重力の影響によって舌などが後方へ移動し、上気道が狭くなりやすい場合があるためです。
そのため、睡眠姿勢はいびきを考えるうえで一つの重要な要素です。
ただし、
仰向けで寝ること自体が、すべてのいびきの原因というわけではありません。
姿勢を変えても強いいびきが続く場合や、睡眠中に呼吸が止まっている場合には、別の要因を確認する必要があります。
子どものいびきも「いつものこと」で終わらせない
子どもでも、いびきをかくことがあります。
一時的な鼻づまりなどでいびきをかく場合もありますが、習慣的ないびきや、睡眠中の呼吸停止などが見られる場合には注意が必要です。
日本睡眠学会でも、小児の睡眠中のいびきや無呼吸は、睡眠呼吸障害の症状となる場合があるとされています。
子どもの場合も、
「顎が小さいから」
「歯並びが悪いから」
と家庭で原因を決めつけるのではなく、気になる状態が続く場合には小児科、耳鼻咽喉科、睡眠医療を扱う医療機関や歯科医師など、適切な専門家へ相談してください。
いびきで特に注意したいのは「睡眠時無呼吸」です
いびきそのものだけでなく、確認しておきたいのが睡眠時無呼吸症候群(SAS)です。
特に閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)では、睡眠中に上気道が狭くなったり閉塞したりすることで、呼吸が繰り返し妨げられます。
次のような状態がある場合には注意してください。
・習慣的に大きないびきをかく
・家族から「寝ている間に呼吸が止まっている」と言われた
・睡眠中に息苦しさや窒息感で目が覚める
・朝起きると頭痛や口・喉の乾燥がある
・十分寝たはずなのに日中の眠気が強い
・仕事中や運転中にも眠気を感じる
こうした症状がある場合は、市販品やセルフケアだけで対応しようとせず、医療機関へ相談してください。
厚生労働省も、強いいびきや睡眠中の呼吸停止がある場合には、専門の医療機関で検査・治療を受けることが重要だとしています。
いびきには、どのような治療がありますか?
原因や重症度によって治療方法は異なります。
閉塞性睡眠時無呼吸では、代表的なものとして、
・CPAP(持続陽圧呼吸療法)
・医療用の口腔内装置
・生活習慣への対応
・症例によっては外科的治療など
が検討されます。
以前のこの記事では、こうした治療を一括して「対症療法」と表現していました。
しかし現在の医学的知見に照らすと、これは適切な表現ではありません。
CPAPは閉塞性睡眠時無呼吸に対する重要な標準治療であり、医療用の口腔内装置についても、患者さんの状態に応じた治療選択肢として研究・使用されています。
大切なのは、
一つの方法をすべての人に当てはめるのではなく、原因や重症度を確認したうえで適切な方法を選択すること
です。
医療用のマウスピースと、市販のマウスピースは同じものではありません
ここも、ぜひ知っておいていただきたいポイントです。
睡眠時無呼吸などの治療に使われる医療用の口腔内装置と、一般に販売されているマウスピースは、同じものではありません。
医療用の下顎前方移動型口腔内装置は、診断を受けたうえで、下顎の位置などを調整しながら使用する治療用装置です。
一方、369マウスピースは医療機器ではなく、日常生活の中で使用する口元のセルフケア用品です。
369マウスピースを、睡眠時無呼吸症候群やいびきを診断・治療するための医療用装置として使用することはできません。
この違いは、369を開発した歯科医師としても明確にお伝えしておきたいところです。
それでも私が「口」と「睡眠」を一緒に考える理由
私は歯科医師として日々、歯だけではなく、舌、顎、唇、噛む力など、口全体を診ています。
その中で感じるのは、
口は、食べるためだけに存在しているわけではない
ということです。
私たちは毎日、
食べる。
飲み込む。
話す。
呼吸する。
眠る。
という営みを繰り返しています。
口の周りの構造や働きは、それぞれ独立しているのではなく、生活のさまざまな場面とつながっています。
だからこそ369では、「いびきを治すための商品」という考え方ではなく、
毎日の生活の中で、自分の口に意識を向ける習慣をつくること
を大切にしています。
医療が必要なものは、きちんと医療へ。
そのうえで、日常の中で自分自身ができることも考えていく。
それが、私たちの考える口元のセルフケアです。
この記事の要点
・いびきは、睡眠中に上気道が狭くなり、空気によって周囲の組織が振動することで起こります。
・いびきには、肥満、加齢、飲酒、鼻づまり、睡眠姿勢、顎や舌の形態など、複数の要因が関係します。
・顎や舌など口腔周囲の構造は上気道と近いため、歯科領域と睡眠中の呼吸には接点があります。
・一方で「歯並びが悪いからいびきをかく」「噛み合わせを整えればいびきが治る」と単純に考えることはできません。
・大きないびき、睡眠中の呼吸停止、強い日中の眠気などがある場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性もあるため医療機関への相談が重要です。
・369マウスピースは医療機器ではなく、いびきや睡眠時無呼吸症候群の診断・治療を目的としたものではありません。
よくある質問
Q. いびきは歯並びが原因ですか?
歯並びだけでいびきの原因を説明することはできません。顎や舌の形態が上気道と関係する場合はありますが、肥満、加齢、鼻づまり、飲酒、睡眠姿勢など複数の要因が関係します。
Q. 仰向けで寝ると、いびきをかきやすくなりますか?
人によっては、仰向けになることで舌などが後方へ移動し、上気道が狭くなりやすくなる場合があります。ただし、すべてのいびきが睡眠姿勢だけで説明できるわけではありません。
Q. マウスピースでいびきを治療できますか?
閉塞性睡眠時無呼吸やいびきに対して、医療用の下顎前方移動型口腔内装置が治療選択肢になる場合があります。ただし、診断や適応判断が必要です。一般のセルフケア用品とは区別して考える必要があります。
Q. 369マウスピースはいびき治療用ですか?
いいえ。369マウスピースは医療機器ではなく、いびきや睡眠時無呼吸症候群の診断・治療を目的とした製品ではありません。毎日の生活に取り入れる口元のセルフケア用品です。
Q. いびきで病院へ行く目安はありますか?
習慣的な大きないびき、睡眠中の呼吸停止、息苦しさ、強い日中の眠気などがある場合は、一度医療機関へ相談することをおすすめします。
参考資料
・厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「睡眠時無呼吸症候群/SAS」
・厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「睡眠に影響を与える要因」
・日本睡眠学会「睡眠障害の基礎知識」
・De Meyer MMD, et al. Use of mandibular advancement devices for the treatment of primary snoring with or without obstructive sleep apnea (OSA): A systematic review. Sleep Medicine Reviews. 2021;56:101407.
・Uniken Venema JAM, et al. Mandibular advancement device design: A systematic review on outcomes in obstructive sleep apnea treatment. Sleep Medicine Reviews. 2021;60:101557.
・Manetta IP, et al. Mandibular advancement devices in obstructive sleep apnea: an updated review. Sleep Science. 2022.
執筆・歯科/口腔監修|大橋 真龍
歯科医師・グリーン歯科医院 院長
369マウスピース開発者
初回公開:2025年5月15日
最終更新:2026年9月3日
※本記事は一般的な健康・口腔情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。症状がある場合は、医師・歯科医師などの専門家へご相談ください。
※本記事の原稿は、一般社団法人濃縮睡眠協会発行「濃縮睡眠通信 2024年3月号」に掲載された内容をもとに、2026年9月時点の情報を踏まえて全面的に改訂しています。


