歯ぎしり・食いしばりとは?睡眠時ブラキシズムと覚醒時ブラキシズムの違い
369 RESEARCH / 口と眠りの研究ノート
「歯ぎしり」と「食いしばり」は日常的によく使われる言葉ですが、医学的には「音がするかどうか」だけで分けるものではありません。現在の国際コンセンサスでは、ブラキシズムを主に「睡眠時ブラキシズム」と「覚醒時ブラキシズム」に分け、歯の接触だけでなく顎の筋活動として評価する考え方が重視されています。
この記事のポイント
歯ぎしり=横に擦る、食いしばり=縦に噛む、という二分法だけでは医学的には不十分です。
ブラキシズムは「睡眠中」と「起きている間」を分けて考えます。
歯を接触させない顎の緊張(bracing)なども評価の対象になります。
ブラキシズムそのものを、すべての人で病気とみなす考え方ではありません。問題は頻度だけでなく、歯・顎・生活への影響です。
369マウスピースは一般雑貨であり、ブラキシズムの診断・治療を目的とした医療機器ではありません。
「歯ぎしり」と「食いしばり」はどう違う?
一般には、歯をこすり合わせる動きを「歯ぎしり」、強く噛みしめる動きを「食いしばり」と呼ぶことがあります。しかし、実際の顎の筋活動はもっと複雑です。音が出ない歯ぎしりもあり、歯を強く接触させなくても顎を固めるように力を入れることがあります。
そのため、現在の研究では「歯ぎしりか、食いしばりか」だけで分類するより、「眠っているときに起きているのか」「起きているときに起きているのか」「どのような筋活動なのか」を見る考え方が使われています。
睡眠時ブラキシズムとは?
2025年に更新された国際コンセンサスでは、睡眠時ブラキシズムは、睡眠中に起こる咀嚼筋活動で、リズミカルな活動と非リズミカルな活動を含むものとして整理されています。
ここで重要なのは、「寝ている間に歯を動かした=すぐ病気」という意味ではないことです。ブラキシズムを筋活動の連続的な現象として捉え、その結果として歯の損傷や顎の症状などが生じているかを個別に評価します。
覚醒時ブラキシズムとは?
覚醒時ブラキシズムは、起きている間にみられる反復的・持続的な歯の接触や、顎を固める・前方や側方へ力を入れるような活動を含みます。
仕事に集中しているとき、スマートフォンを見ているとき、緊張しているときなどに「気づくと歯を接触させていた」「顎に力が入っていた」という経験がある人もいます。ただし、こうした行動の有無だけで病気を診断するものではありません。
ブラキシズムは病気なの?
近年の国際コンセンサスでは、ブラキシズムを一律に「病気」とみなすのではなく、臨床的な結果に対するリスク要因になり得る行動・筋活動として捉える考え方が中心です。2025年の国際コンセンサスでは定義が改めて整理され、自己申告、臨床診察、機器を用いた評価を区別して扱うことが提案されています。
つまり、「歯ぎしりをしているか、していないか」という二択だけではなく、どのような活動が、どの程度あり、本人にどのような影響が出ているかを見ることが重要です。
どんなサインがブラキシズムを考えるきっかけになる?
家族から睡眠中の歯ぎしり音を指摘された
朝、顎の筋肉に疲労感やこわばりを感じる
歯の摩耗や欠けを歯科で指摘された
詰め物・被せ物への繰り返す負担が疑われる
起きている間、気づくと上下の歯を接触させている
歯を接触させていなくても、顎を固めるように力を入れていることがある
これらは「ブラキシズムがある」と確定する診断項目ではありません。ほかの原因でも起こり得るため、気になる場合は歯科で状態を確認します。
ブラキシズムはどうやって評価する?
2024年に公表されたStandardised Tool for the Assessment of Bruxism(STAB)では、ブラキシズムを多面的に評価する考え方が示されています。評価には、本人や家族からの情報、歯や顎の臨床所見、必要に応じた筋電図などの機器による測定が含まれます。
STABは、ブラキシズムの状態や結果だけでなく、リスク要因、併存状態なども別軸で整理します。「歯が削れているから原因は必ず歯ぎしり」と一つの所見だけで決めつけないための考え方でもあります。
マウスピースを使えば歯ぎしりは止まる?
「マウスピースを入れればブラキシズムそのものが止まる」とは言い切れません。2021年のJournal of Dentistryの系統的レビューでは、咬合スプリントについて、無治療や他の治療と比べてブラキシズム治療として優れていると判断するにはエビデンスが不十分とされました。
これは「歯科用スプリントに意味がない」ということではありません。歯科では、歯の保護や症状への対応など、それぞれの目的に応じて口腔内装置が選択されることがあります。「ブラキシズムを止めること」と「歯への影響を管理すること」は同じ問いではないため、目的を分けて考える必要があります。
どんなときに歯科へ相談した方がいい?
顎の痛みや口の開けづらさが続く、歯が欠けた・揺れる、急速な摩耗を指摘された、修復物が繰り返し破損するなど、実際の問題が起きている場合は歯科へ相談してください。また、いびきや呼吸停止、強い日中眠気などを伴う場合には、睡眠の問題も含めた評価が必要になることがあります。
369 Perspective|「歯ぎしりを止める」だけで考えない
369では、眠っている間の口や顎を日常の健康習慣として考えることを大切にしています。一方で、「歯ぎしりをしているから全員が同じ状態」「この製品を使えば歯ぎしりが止まる」という説明はしません。
369マウスピースは、型取りやサイズ選びを前提としない一般雑貨です。ブラキシズムや顎関節症を診断・治療する医療機器ではありません。歯の損傷、顎の痛み、開口障害などがある場合には、セルフケアの前に歯科で状態を確認してください。
よくある質問(FAQ)
Q. 歯ぎしりは音が出るものですか?
A. 必ずしも音が出るとは限りません。ブラキシズムには、歯をこする動きだけでなく、持続的な歯の接触や顎を固める活動なども含まれます。
Q. 「食いしばり」と「歯ぎしり」は医学的に別の病気ですか?
A. 単純に別の病気として二分する考え方ではありません。現在は睡眠時ブラキシズムと覚醒時ブラキシズムを分け、その中の筋活動を評価する考え方が中心です。
Q. ストレスがブラキシズムの唯一の原因ですか?
A. いいえ。ブラキシズムを一つの原因だけで説明することはできません。STABでも心理社会的要因、睡眠、併存状態などを多面的に評価する枠組みが採用されています。
Q. 歯がすり減っていれば、今も睡眠中に歯ぎしりしている証拠ですか?
A. それだけでは分かりません。歯の摩耗は過去から蓄積した結果でもあり、酸による摩耗など別の要因もあります。現在のブラキシズム活動を歯の見た目だけで確定することはできません。
Q. マウスピースを使えば歯ぎしりを止められますか?
A. 「マウスピースを使えばブラキシズムそのものが止まる」とは言い切れません。歯科用装置は目的や状態に応じて用いられるため、必要性は歯科で確認してください。
Q. 369マウスピースはブラキシズムの治療用ですか?
A. いいえ。369マウスピースは一般雑貨で、ブラキシズムの診断・治療を目的とした医療機器ではありません。
参考文献
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